ナビゲーション
ナビゲーション

保湿剤についてAbout humectant

しずおかクローバー薬局 Home  >  外用薬について  >  保湿剤について

保湿剤について

保湿剤によるスキンケアは、季節に関係なく、年間を通じて続けることがとても大切です。 保湿剤の特徴をよく知り、正しい使い方で皮膚を守りましょう。

保湿剤の役割とアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎にとって、保湿はとても大切です。
しかし、どの保湿剤を使っても良いというものではありませんので、注意が必要です。

しずおかクローバー薬局 外観
しずおかクローバー薬局 外観
しずおかクローバー薬局 外観

アトピー性皮膚炎における保湿剤の役割

アトピー性皮膚炎の治療では、ステロイド外用薬とともに、必ずといっていいほど保湿剤が処方されます。

ステロイド剤はアトピー性皮膚炎そのものを改善するために処方されますが、保湿剤はどうして処方されるのでしょうか。
保湿剤には、ただ皮膚をしっとりさせるだけではなく、アトピー性皮膚炎で起こる特有の痒みを軽減させる効果があります。

アトピー性皮膚炎により、乾燥肌やドライスキンになると、痒みの神経が上の方へ伸びてきて、表皮の中にまで入ってきます。
すると、痒みに敏感な「敏感肌」になってしまいます。

そこで保湿剤の出番です。粉がふいたような軽い状態の乾燥肌でも、ガサガサになってしまった乾燥肌でも、保湿剤でしっかりスキンケアしておくことで、痒みを抑えながら皮膚の保湿を保てることになります。

アトピー性皮膚炎をステロイド外用薬で治療をしながら、保湿剤で皮膚バリアを修復する。
このことがアトピー性皮膚炎の治療にはとても大切です。

乾燥肌(ドライスキン)とバリアー障害

乾燥肌(ドライスキン)とは、皮膚がカサカサしている状態です。これは皮膚内の水分が少なくなり、細胞の隙間が広がってしまっているために起こる現象です。下図でみられるように、乾燥肌(ドライスキン)では、外部刺激がそのまま皮膚内に浸透してしまい、皮膚、肌を傷つける要因となります。本来潤いにより外部刺激から皮膚を守るバリアー機能が働いていますが、乾燥による潤い不足の肌では、バリアー機能が弱まり、各層の隙間から紫外線や細菌、ホコリなど、外部刺激が内部まで侵入し、皮膚トラブルを引き起こすようになります。

角質肥大厚とターンオーバー

ターンオーバーとは、肌の生まれ変わりのことです。角質層内にある天然保湿因子やセラミドが満たされた状態であることで、正常な細胞層を保つことができます。それに比べて、角質が厚くなってしまうことを、角質肥厚(かくしつひこう)と言います。上図でわかる通り、皮膚膜はなくなり、角質層もバラバラの状態になります。角質層内に存在する天然保湿因子やセラミドが奪われてしまうと、皮膚もゴワゴワ固くなってしまい、この状態になると、化粧水を補っても浸透しなくなります。バリアー機能もますます低下し、ターンオーバーは乱れ、さらなる肌トラブルを進行させてしまいます。

角質肥厚の主な原因の一つとしては、洗浄力の強いクレンジングや洗顔フォームで洗うこと、もう一つは摩擦です。摩擦とは、肌を洗う時に、気づかないうちに強くこすってしまったり、ゴシゴシと洗ってしまうことで起こります、一時的に古い角質を取り除きますが、肌の防衛反応が敏感になり、硬い角質層を作り上げてしまいます。肌を洗う時は、自分にあった洗浄力のクレンジング等を使い、手の平で優しく揉み上げるように洗うことが大切です。

肌を健康な状態に保つために保湿剤は大切
アトピー性皮膚炎の症状を和らげるためにも、健康な肌状態を保つためにも、しっかりたとした保湿によるスキンケがが大切です。
どんな保湿剤でもOKではない、保湿剤選びには注意すること
スキンケアを行う上では、医師や薬剤師に相談し、自身の肌の状態を把握し、最も合った保湿剤を選択することが大切です。
中でも、アトピー肌は外からの刺激にとても敏感なため、クリームタイプの保湿剤選びには注意が必要です。
クリームタイプの保湿剤を選ぶ時は、肌に潤いを与える成分が入っているもの、炎症を抑える効果のあるものを選びましょう。
日頃のスキンケアが何より大切
スキンケアを行うには、常日頃のスキンケアが何より大切になります。
アトピー性皮膚炎は、はっきりした原因が解明されておらず、発症すると炎症や痒みなどの症状が起こります。
アトピー性皮膚炎の悪化を抑えためにも、日頃のスキンケアが大切です。

保湿剤の種類

保湿剤は、大きく分類すると、「ヘパリン系」「ビタミンA系」「尿素系」の3種に分類されます。
ベタつきやニオイ、刺激性のあるものなどがありますので、医師、薬剤師に相談し、ご自身に合った保湿剤を選ばれることをお勧めします。

ヘパリン系

ヘパリン系保湿剤

スキンケアを行っている方では、「ヒルロイドローション」「ヒルロイドクリーム」という言葉をご存知の方も多いのではないでしょうか。
これらは、大きく分類すると、水分をしっかりと蓄える働きをする物質である、ヘパリンと呼ばれるムコ多糖類の一種に似せて作られた、ヘパリン類似物質に分類されるタイプの保湿剤です。ヘパリン類似物質には皮膚に潤いを与え、結構をよくして皮膚の再生を促し、炎症を鎮める働きがあります。アトピー性皮膚炎の方や、カサカサ乾燥肌、荒れてしまった肌によく処方される保湿剤です。

種別 ヘパリン製剤
形態 軟膏・クリーム
医療用医薬品 ヒルドイド、ビーソフテン
市販薬 HP、アットノン、Saiki
特徴 保湿効果が高く、伸びが良く使いやすい。欠点は多少においがある。
禁忌症 血友病、血小板減少症、紫斑病等の出血性血液疾患がある方
症状 肌荒れが酷い方、水仕事で手が荒れがちな方(かさつきタイプ)
ヘパリン系

ビタミンA系保湿剤

ビタミンA系保湿剤としてワセリンという言葉をご存知でしょうか。ワセリンはヘパリン類似物質と同じくらい使用されているビタミンA系の保湿剤です。保湿剤というより、保護剤といったイメージを持たれている方も多いと思います。ワセリンは、水分の蒸発をおさえ、皮膚内部にも浸透しないため、刺激を与えるリスクがとても少なく、肌の表面を保護することが可能です。

種別 ワセリン製剤
形態 軟膏・クリーム
医療用医薬品 白色ワセリン、プロペト
市販薬 白色ワセリン、サンホワイト
特徴 低刺激で安価。保湿外用薬の基本です。欠点はベタつきが気になること
皮膚には浸透せずに表面を保護し、水分の蒸散を防ぐ。肌に炎症のある状態でも使用が可能。
症状 角化症の人にも最適な保湿剤、水仕事で手が荒れがちな方(ささくれ、あかぎれなどの肌荒れタイプ)
ヘパリン系

尿素系保湿剤

尿素は天然保湿因子の一種であり、尿素系保湿剤は、肌に塗ることで空気中に存在する水分等から肌に潤いを与えます。尿素はすごく水に結合しやすい特徴があり、その作用で皮膚に水分が集められます。尿素入りの保湿剤には、表面にある古い角質を取り除くピーリング効果を併せ持ち、肌をキレイにする特徴があります。一般的には、皮膚のターンオーバーが遅い手や足等の角質がとても分厚い部分に使うことが推奨されます。反面使いすぎると皮膚のピーリングのし過ぎで古い角質を落として出てきた新しい健康な皮膚まで傷つけてしまうので、使いすぎてしまうと肌荒れの原因となることもあります。

種別 尿素製剤
形態 クリーム
医療用医薬品 ウレパール、パスタロン、ケラチナミン
市販薬 ケラチナミン、フェルゼア、アトリックス
特徴 古い角質を除去し、皮膚を柔らかくする
保湿効果が高く、ベタつきが少ない。欠点は炎症部位に塗ると刺激がある。
症状 ひじ・ひざ・かかと、手のひら・足の裏が気になる方

保湿剤の正しい塗り方

保湿効果を最大限に引き出すためには、保湿剤の性質を理解したうえで、正しく塗ることが大切です。
保湿剤を効果的に塗るためのポイントもご案内します。

入浴後すぐに塗る

保湿剤を塗る際のポイントは「皮膚に水分が含まれた状態で保湿剤を塗る」ことです。入浴後5分以内に保湿剤を塗る、手洗い後肌がしっとりしているうちに保湿剤を塗るなど、皮膚に水分が含まれた状態で保湿剤を塗りましょう。

保湿剤はこまめに塗ろう

医師に塗る回数を指定されている場合は別ですが、保湿剤はこまめに塗ることが大切です。特に水仕事による手荒れにお悩みの方は、水仕事後は毎回保湿剤を塗るなど、頻繁に塗るようにしましょう。

肌状態によって使い分ける

肌の状態を確認し、使用する箇所によっては保湿剤を使い分けることが大切です。保湿剤の特徴を活かし、適した保湿剤を選びましょう。保湿剤選びに迷われている方は薬剤師にご相談ください。

手を洗ってから、保湿剤を手に取りましょう
まず、手を清潔してから保湿剤を手に取りましょう。薬を取る量の目安は、人差し指の指先から第一関節程度です。この量で、手のひら2枚分の面積に保湿剤を塗ることができます。
手に取った保湿剤を数カ所に置きます
保湿したい部分の数カ所に置きます。顔に塗るのであれば、おでこ・左右の頬・鼻・あごの5カ所など、上腕に塗るのであれば、腕の関節から肩までに等間隔に保湿剤を置いていくと塗りやすくなります。
手のひらでこすらずに、丁寧に塗り広げます
数カ所に置いたあとには、手の平をつかてやさしく伸ばすように拡げて塗ります。