副作用についてAbout side effects
副作用についてAbout side effects
薬を飲んでいると副作用が出ることがあります。どんな副作用があるのか、どんなときに副作用が出るのか、副作用が出たときにはどうすればいいのかなど
薬を服用する上で切り離すことのできない「副作用」について薬剤師が解説します。
お薬はいくつかの働きを持っています。病気を治したり、症状を和らげるために利用するお薬の働きを「主作用」といい、
それ以外に出る症状を「副作用」といいます。期待する働きだけが現れる理想的なお薬はまずありません。
「副作用が心配だから…」、「副作用が恐いから薬はなるべく飲みたくない」そんなご相談もよく寄せられます。
しかしながら、「副作用が心配だから薬を飲まない」というのは、病気を治すという意味では、大きな間違いです。
お薬を服用する上で、副作用は決して避けることができません。お薬を服用する多くの場合、1つの症状を改善するために服用しますが、だいたいのお薬は、1つの症状だけを改善するための作用を持っているわけではありません。全ての薬はいくつかの作用を併せ持っているのです。
治療という本来の服用する目的である作用が「主作用」となり、これとは別に、必然的にその他の作用が現れます。これを「副作用」と呼びます。例えば、風邪薬を飲んだ後、体調は良くなっても、とても眠くなることがあります。これは、風邪薬に含まれている抗ヒスタミン薬の影響です。抗ヒスタミン薬には、鼻水やくしゃみを抑える「主作用」の他に、眠くなるという「副作用」を併せ持っているからです。このように、薬本来の目的である主作用と、本来の目的とは違う作用「副作用」を、全ての薬が両方を併せ持っているのです。
「副作用が心配だから」といって自分でお薬の服用を中止したり、量を減らしたりしていては、病気を治すことはできません。薬を正しく服用することで、早く病気を治すことができます。
いたずらに副作用を恐れるのではなく、副作用の正しい知識と理解を持ち、万が一副作用があらわれた場合には、できるだけ早期に対処することが大切です。
ここでは、一般的に副作用が出やすい人の特徴をご紹介します。副作用を予防するという意味では、日頃から良質なタンパク質を含む栄養をしっかり摂り、免疫力を高めることが大切です。
肝臓や腎臓が健康なほど、薬の副作用が出にくいと考えられています。
起こる確率は、かなり低い副作用ですが、万が一下記のような副作用の症状が見られたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
以下に深刻な副作用を掲載します。下記副作用の症状が見られる場合は、薬を中止して、できるだけ早く病院で診察を受けることが大切です。
特にショック症状(過敏症)の症状が現れた際は、薬を中止して、急いで救急処置が可能な病院へ向かってください。
副作用名 | 初期症状 | 対処方法 |
アナフィラキシーショック | 皮膚のかゆみやじんましん、気分が悪い、息が苦しい、くちびるや手足がしびれる、顔が赤くなったり熱くなるなど(薬を服用して20~30分以内に起こることが多い) | 薬を中止して、急いで救急処置が可能な病院へ。 救急車の利用も大切です。 |
重い肝障害 | 発熱(38~39℃)、食欲がない、吐き気がする、気分が悪い、全身がだるい、体がかゆい、ぶつぶつが出る、白眼や皮膚が黄色いなどの症状 | 薬を中止して、できるだけ早く病院で 診察を受けましょう。 |
急性腎不全 | 顔や手足がむくむ、尿の量が減る、尿の色が赤くなる、発熱、吐き気がする、関節が痛む、腹痛などの症状 | |
再生不良性貧血 | 発熱、のどが痛む、歯ぐきや鼻などから出血しやすい、手足に赤いあざや斑点ができる、全身がだるいなどの症状 | |
横紋筋融解症 | 手足に力が入らない、手足のしびれやこわばり、全身の筋肉が痛む、全身がだるい、尿の色が赤褐色になるなどの症状 | |
皮膚粘膜眼症候群 (スティーブンス・ジョンソン症候群) |
発熱、頭痛、関節の痛み、口の中や眼の粘膜などに水ぶくれができる、皮膚がまだらに赤くなるなどの症状 | |
中毒性表皮壊死症 (Lyell症候群) |
発熱、皮膚がまだらに赤くなる、やけどのような皮膚の症状(痛み、水ぶくれ、熱く感じるなど)、口の中があれるなどの症状 | |
低血糖 | 気持ちが悪い、急に空腹感を強く感じる、頭が痛い、寒気がする、ふらついたり、力のぬけた感じがする、頭がぼーっとするなどの症状 | すぐに砂糖やブドウ糖などを食べ、症状が良くならなければ、医師に連絡して指示を受けましょう。 |
薬の多くは、ひとつだけでなく複数の作用を持ち合わせています。そのために治療の目的と異なる効果が出てしまうことがあります。
また、薬が体内で代謝される際に出される物質が持つなんらかの作用によって起こることもあります。
副作用が起こる原因となるものには、以下のようなものがあります。
薬の性質によるもの | 薬が持つ主作用の他に、目的とは違う効果が出てしまうことがあります。これを副作用と呼びます。 |
薬の使用法によるもの | 服用する量や時間といった薬の使用法を誤ると、薬が効きすぎるなどで副作用が起こることがあります。 |
患者さんの体質や体調によるもの | 患者さんがもつ食品アレルギーなどによっても副作用が出てしまうことがあります。 また、体調が悪いと薬の影響を受けやすい傾向があります。 |
飲み合わせ・食べ合わせによるもの | 併用している薬の影響や、食べ物との組み合わせで副作用が出る場合があります。 |
副作用で起こる症状は実にさまざまです。ここでは、特によく見られる症状を紹介します。
下痢・便秘 | 内服薬での副作用で多いのが下痢や便秘といった消化器症状です。 薬を溶かし、吸収するのが胃や小腸なので、どうしても消化器に影響が出やすくなります。 |
眠気 | お薬の副作用で眠気が出る薬はたくさんあります。眠気が強く出る薬剤を服用している時には、運転等にも危険を及ぼしますので、服用するタイミングには十分に注意してください。 |
かゆみ | 薬の特定成分に対して身体(とくに皮膚)の免疫応答が過剰に反応していると考えられます。 かゆみがひどい、続く場合は医師の診断を受けましょう。 |
胃の痛み | 抗生物質や解熱剤では、胃痛など胃の不快感が副作用として出ることがあります。 このような薬には、胃の粘膜を守る薬が併せて処方されることもあります。 |
アナフィラキシーショック | 薬に対するアレルギー反応の「アナフィラキシーショック」です。この副作用はとても深刻です。 呼吸困難など、命に関わる症状が出ることもありますので、すぐに緊急医療で受診しましょう。 |
副作用が起きないようにするためには、患者さん自身も注意することが大切です。
医師、薬剤師の指示とは違う飲み方をしたり、家族や友人が病院で処方されてきた薬をもらって飲んだりすることは避けましょう。お薬はあなただけに処方されるものです。
お薬手帳を利用しながら、自分の体質や症状について知っていくことが大切です。副作用の経験やアレルギーの有無、服用中の薬があれば事前に医師・薬剤師に伝えてください。
医師、薬剤師は患者さんのサポートを行いますが、一緒に飲んではいけない薬や食べ物についてまで細かく管理することは現実できません。ご自身が薬に関する知識を身につけ、日々気をつける必要があります。