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内科の薬「ステロイド」について

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内科の病気と薬に精通した調剤薬局として

しずおかクローバー薬局は、高度な薬学知識を備えた調剤薬局です。それぞれの専門分野に関する薬の高度知識を備えています。
ここでは内科で処方されるお薬について、薬剤師が薬と、薬の使用に関する情報提供を行います。

内科の薬「ステロイド」について

内科の薬と聞くと、皆さんは何を最初に思い浮かべるでしょうか。
風邪薬、抗うつ剤、ステロイド剤…。 内科では実に100種類を超える薬を処方することがあります。
その中でも最も知って欲しい、内服ステロイドについてご説明します。

ステロイドとは
ステロイドとは、副腎から作られる副腎皮質ホルモンで、誰の身体にも存在し、医療用に使用されるステロイドは、体内で作られ分泌されるホルモンとほぼ同質のものです。
ステロイドホルモンを薬として使用することで、体の中の炎症と免疫力を抑制したりする作用があり、非常に有益な治療効果をもたらすため、さまざまな疾患の治療に使われています。
ただその反面、ステロイドの服用では副作用も多いため、十分な注意が必要です。
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ステロイド剤の安全性

ステロイド剤と聞くと、外用薬をイメージされる方が多いと思います。
一般的に外用薬では症状が改善されない場合にこのステロイド内服薬が使用されることが多いです。

また、内科疾患を抱える患者さんに処方される薬として、ステロイド内服薬が多く処方されています。

ステロイドと聞くと、「骨がなくなる」「健康を害する」など、なんとなくマイナスなイメージを持たれる方も少なくないようです。
しかし、ステロイドに関する知識を正しく持つことで安全に服用することができる、優れた薬でもあります。

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ステロイドの副作用

ステロイドは、様々な疾患に適応する優れた薬ですが、同時に副作用も多いのが特徴です。
ここでは、ステロイドによる副作用と、その対策についてご説明します。

■免疫不全による易感染性(いかんせんせい)
ステロイドは異常な免疫反応を抑えることができるのが特徴で、リウマチなど多くの免疫異常疾患に対する治療薬として使われています。しかし、ステロイドを大量に投与した場合には、成城な免疫までもが低下して細菌やウイルスなどの感染症にかかりやすくなることが考えられます。これが副作用のひとつとなり、易感染性(いかんせんせい)と呼ばれます。
■糖の代謝に対する作用による高血糖(ステロイド糖尿病)
ステロイドは体の組織での糖の利用を低下させる特徴があります。ステロイドの投与により、血糖値が下がりにくくなり高血糖を引き起こす可能性があります。ステロイド糖尿病と呼ばれる糖尿病は、ステロイドの投与によって糖尿病を発症したものですから、ステロイド投与を中止すれば糖尿病も治ります。ただ、ステロイドの投与を中止しても糖尿病が改善しなければ、それは真性の糖尿病で、ステロイドをきっかけとして、発症してしまったということになります。
■蛋白代謝に対する作用による蛋白異化
医薬品ステロイドは、副腎皮質ステロイドホルモンの内、糖質コルチコイドホルモンを人口合成したものです。ステロイドは大量に投与すると蛋白質を分解してしまう蛋白異化という作用があらわれ、皮膚が薄くなったり、筋力の低下、白内障の進行などがおこる可能性があります。
発症する可能性は少ないですが、カリウムの濃度が低くなるために、カリウムを必要とする筋肉組織の機能が低下し心臓に異常が現れることもあります。
■脂質代謝に対する作用による脂質代謝異常や動脈硬化
ステロイドは血液中の脂質合成や脂肪の合成を促進させます。多量のステロイド薬を長期に投与を続けると、これにより脂質異常症(血液中の脂肪成分、コレステロールや中性脂肪が多くなる症状)や動脈硬化がおこりやすくなり、そのまま放置してしまうと、心筋梗塞につながるリスクも高めてしまいます。また、脂質代謝異常が原因と考えらるムーンフェイス(満月様顔貌)などがおこる可能性もあります。ムーンフェイスとは、顔が膨らみ、月のように丸い形の顔になってしまう症状です。
■骨や軟骨に対する作用による骨折(骨粗相症)
大量のステロイドは軟膏の発育やカルシウムの吸収を抑えます。これにより小児では発育障害、成人では骨粗相症などがおこる可能性があります。ステロイドなど、原発性以外の他の要因によって引き起こされる骨粗相症を、続発性骨粗鬆症(二次性骨粗鬆症)と言います。そのため、ステロイドの因子を取り除けば、骨粗鬆症から回復する可能性も高いです。
■胃や腸に対する作用による消化性潰瘍
ステロイドは胃粘膜保護作用のあるムチンという物質を減少させる作用があり、これによって胃粘膜の防御能力が低下、消化性潰瘍がおこりやすい状態になる可能性があると言われています。特によく知られているのが、ステロイド潰瘍(ステロイド投与が要因となる消化管への副作用)と呼ばれます。ただ、近年ではステロイドを投与しているからステロイド潰瘍が発症するわけではないという説も唱えられています。

他にも高血圧や緑内障をおこす要因となったり、不眠などを引き起こす神経系への作用などもステロイドの副作用として考えられます。ステロイドは大変有益な治療効果をもたらすことの反面、全身に無差別に作用してしまうことが、ステロイドの厄介な問題となっています。
ステロイド剤を服用するにあたって、不安に思うことや、ご相談したいことがございましたら、クローバー薬局専門薬剤師へお気軽にご相談ください。

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ステロイド剤を安全に服用するために

ステロイド剤を処方された場合には、医師と薬剤師の説明をしっかりと聞いてください。
副作用を限りなく抑えるために大切なことを守り、正しく服用するようにしましょう。
ステロイドは、適切に使えば、健康に支障なく服用することができる最も有益なお薬でもあるのです。

自己の判断で、急に内服を中止しないこと
ステロイドホルモンはPSL換算で2.5~5mg程度が生理的に体内で分泌されていますが、それ以上の量のPSLを長期に内服した場合、これ以上ホルモンを分泌する必要がないと生理的機能が働き、副腎皮質からのステロイドホルモンが分泌されなくなります。そのため、急に薬を飲まなくなると、体の中のステロイドホルモンが不足してしなうこととなり、吐き気や倦怠感、頭痛などの症状が見られることがあります。これをステロイド離脱症候群と呼びます。自己判断による内服の中止はしないようにしてください。
ストレス時には要注意
手術、抜歯、その他、体にストレスがかかるときは、ステロイド薬の増量が必要な場合がありますので、主治医に事前に相談してください。

ステロイド剤は優れた治療薬であると同時に、用法を守らないと一転怖い薬になってしまいます。
ステロイド剤を服用するにあたって、不安なことなどございましたら、クローバー薬局へお気軽にご相談ください。